お知らせ
vol.41 塩ビ製ラップフィルムと内分泌かく乱物質
2000/07/14 アーテック倶楽部ニュース
アーテックニュース倶楽部事務局より
最近大きな事件が相次いで起きました。また、O157をはじめとして、多種多様な食中毒が頻発しています。食品を扱うにあたって、衛生管理がいかに重要か、ということを改めて思い知らされました。
さて、今回のアーテック倶楽部ニュースでは、
「手袋はわかったけど、塩ビのラップはどうなんだろう?」というご質問がありましたので、塩ビラップについて触れてみたいと思います。さらに前々から予告しつつもお伝えすることができなかった電解水について考えていきたいと思います。
(事務局 山崎)
塩ビ製調理用手袋の現在
厚生省からの通達もあり、現在では塩ビ製調理用手袋は、調理にたずさわる場所での使用はされていないようです。一部使用されているところでも、在庫があり、使わなければならないので、掃除をするときに使用したり、苦肉の策では、塩ビ手袋の上から使い捨ての別材質の手袋をはめて使用していたり、といった状況だそうです。
調理用手袋については、ほとんどのところで塩ビから別の材質の手袋に変更されているようです。
<塩ビ製ラップフィルム?>
ではみなさん、ラップフィルムは何でできているものが多いか、ご存知ですか?
ラップフィルムは大半が塩ビ製です。原材料名のところに何を使っているか、は書いてあります。また、塩ビを使用していないものであれば、大きく“非塩ビ系”、“環境にやさしい”といった形でわかるように書かれていると思います。
塩ビ製調理用手袋では可塑剤(塩ビをやわらかくする添加剤)として使用されていたフタル酸エステル類が内分泌かく乱物質である、ということでしたが、塩ビ製ラップフィルムからは可塑剤は検出はされませんでした。そのかわり、“ノニルフェノール”という物質が検出されたそうです。
<ノニルフェノールとは??>
塩ビに酸化防止剤として使用される“トリスノニルフェニルホスフェイト”が分解されることにより生ずる物質のことです。内分泌かく乱作用が疑われている物質です。
ノニルフェノールは電子レンジで油の多い食品を加熱したり、また、長時間放置しておくと、食品へ溶出する量が増加します。約5℃(冷蔵庫内と同じ温度)で放置しても約2時間で全量が溶出するそうです。
しかし、最近ではノニルフェノールを含まない塩ビ製ラップフィルムに切り替えられてきているそうです。ラップフィルムの主要メーカーで、平成12年2月以降の製品であれば、内分泌かく乱物質溶出の心配は無いかもしれません。一度お使いのラップを確認してみてはいかがでしょうか?
詳細は下記URLで閲覧できます。
東京都衛生局のホームページ
電解水の食品への使用に関する日本とアメリカの状況(機能水シンポジウムより)
国際HACCP同盟FPI認定・HACCPインストラクター 島田寿之
電解水の中で、食品添加物規制に照らして厚生省が使用を認めているのは、いわゆる電解次亜水のみで、強酸性(電解)水は、現在認められていません。
強酸性電解水(以下強酸性水)は、酸性の次亜塩素酸水ということは科学的実証されています。
次亜塩素酸は平成3年までは、食品添加物リストに次亜塩素酸ナトリウムとともに記載されていましたが、安全性の問題ではなく、使用実体が無いことからリストから削除され、食品添加物公定書には、次亜塩素酸ナトリウムのみが記載されています。ました。
その為、厚生省では次亜塩素酸ナトリウム希釈液と同等とみなされる電解次亜水の使用は認めてますが、次亜塩素酸水溶液とみなされる強酸性水などの食品への使用を認めていません。
一方、アメリカFDA(食品医薬品局)の見解は厚生省と異なっています。
FDAは、次亜塩素酸ナトリウムも次亜塩素酸も塩素も殺菌要因は同じであるので食品に使用してよいという文書が出ています。強酸性水は、野菜等の食品洗浄に使用してよいと回答しています。(次号では、WHOやFDAの強酸性水の認知、電解水のデータ-を紹介します)
雪印食中毒とHACCP
ご存知のとおり、6月末、雪印牛乳による大規模な食中毒が発生しました。今回の事故の原因は未だに解決しておりません。HACCPの認証(総合衛生管理製造過程)を持ち、本来「安心・安全」でなければならない工場で、あってはならない事故が現実とて起きました。HACCP認証が問題視されていますが、認証自体が問題なのではなく、認証を受けた製造工程、手法、サニテーションを怠ったことに問題があるといえます。雪印の起こした大事故は、私たちに衛生管理の大切さを再確認させたのではないでしょうか?
(事務局・山崎美也子)
■最近の食中毒ニュース
★雪印低脂肪乳による食中毒発生。
★小岩井乳業一部製品に蒸気殺菌不備で雑菌混入。
★村山ミルクプラントからセレウス菌食中毒。(佐賀県)
★森永乳業給食用牛乳から異臭。原因は次亜塩素酸ナトリウム残留。
★シダックスフードサービス・老人保健施設でO157。原因は給食の浅漬け。
★防府市牧場が製造・宅配した牛乳から大腸菌群を検出。