お知らせ
vol.37 早急に望まれている改善事項、学校給食の食中毒
2000/05/12 アーテック倶楽部ニュース
連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
学校給食の現在の整備要求は先号で紹介しましたが、今後、早急に望まれている改善は何なのでしょう。
「早急に計画を策定し改善を図ることが必要な事項」—-
1.施設の新築、改築、改修に当たっては、ドライシステムを導入すること。
これは、食中毒菌の繁殖環境が水分に依存することより規定された事項で、上記に関係する現状の具体的留意点は、以下の様に定められております。
1)床は作業中むやみにぬらさないこと。
2)ごみはできるだけ拭き取るようにして、むやみに排水溝へ流し込まないこと。
3)天井の水滴の有無、落下防止の状況、特に黒カビ類の発生について注意すること。
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2.調理室等は内部の温度及び湿度管理が適切に行えるよう、空調等を備えた構造であること。
これは、食中毒菌の繁殖がある温度帯の環境下で促進されることより規定された事項で、上記に関係する現状の具体的留意点は、以下の様に定められております。
1)室内の適切な場所に、温度計、湿度計を備えること。
2)換気、除湿に注意して湿度80%以下、温度25℃以下に保つことが望ましい。
3.学校給食従事者専用の便所、休憩室及び更衣室は、隔壁により食品を取り扱う場所と必ず区分されており、調理場から3m以上離れた場所に設けられていること。
上記に関係する現状の具体的留意点は、以下の様に定められております。
1)学校給食従事者は専用の便所を使用すること。
2)常に清潔に保ち、必要に応じて消毒すること。
以上、これから新築、改築、改修される学校給食設備に対して要求されている事項です。
各自治体の予算枠によって実現のレベルには差異が生じる事でしょうが、「食品安全」を目指す方向性は見定めることが出来るのではないでしょうか?。
「学校給食の食中毒」
1.食中毒を起こす微生物の特徴
学校給食は対象が子供たちであることから食中毒が発生した場合、大きな事故になりがちです。これまでの学校給食における食中毒には次のような特徴が見られます。
1)日本全体の食中毒と比較して1件あたりの患者数が5~6倍多い。
2)病因物質、原因食品ともに不明が多い。
3)発生月は4~9月の間に60%以上が発生し、特に5~6月が最も多い。ただし12月にも意外と多く発生している。
4)判明した原因食品を見ると、各種のサラダやあえもの、調理パン、めん類、ハム類、スープ類等である。
5)判明した原因物質のほとんどが細菌によるもので、O157など病原大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、ウエルシュ菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌である。
6)原因物質不明のものでも状況から見て細菌によると考えられるものが多く、また腸炎ウイルスも考慮する必要がある。
そこで、食中毒の防止対策や食中毒が発生した場合の対策を考えるためには、まずどのような食品にどのような食中毒菌やウイルスが存在するか、どのような特徴を持っているかを知ることが大切です。
※文中にてアンダーラインを付けた用語・機器に関するお問い合わせは事務局までお寄せください。
(考資料:三訂/学校給食における食中毒防止の手引/日本体育・学校健康センター発行)
「36号アンケート結果報告!」
次亜塩素酸ナトリウムに関するアンケートの集計結果をお知らせいたします。
今回の結果で目立つのが、
- ジアンそのものの殺菌効果を判らずに使っている。
- 手荒れがある。
- 半数の方がジアンに問題を感じている。
の3点でしょうか?
次回は、これらの問題解決の為にもう少し考察を加えたいと思います。
情報を頂いた全ての会員様、本当に有り難うございました。