お知らせ
vol.15 消毒用アルコールによる消毒とは
1999/01/08 アーテック倶楽部ニュース
連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
「消毒用アルコールによる消毒」
アルコールは、組織などに対する浸透力が強く、殺菌速度が他の殺菌剤に比べて著しく早いこと、また、食品添加物として認められており、食品及び食品に直接触れる手指や器具類に対して直接スプレーして、そのまま作業ができることから食品関係作業場での使用が急速に拡大しています。(いきなりポイントですね。)一方、間違った安易な使用が目立つのが、このアルコールの特徴です。その原因は?
(a)アルコールは蛋白質を凝固し、脂肪を溶解する作用がある。
(b)アルコールはスプレーとして使用されている。
(c)作業中に充分洗浄されないで使用されている。
(d)洗浄後、水分を完全に拭き取らないでスプレーしている。
ことなどがあり、いずれも殺菌効果が充分に発揮されない事態となります。
(a)と(b)は同じ意味で、例えば、まな板にスプレーした場合に、その大部分が表面の有機物(汚れ)と結合して消費されてしまいます。
(d)は水によってアルコールが希釈されて有効濃度以下に低下してしまいます。
(a)も(d)に関係しますが、アルコールは霧状で噴出されるので、殺菌しようとする対象物との距離が遠いと、充分に濡れるほどの量になりません。
湿式調理場ではシャワー水が使えるので良いのですが、食肉や寿司、惣菜などの乾式調理場では、まな板にシャワー水を使えないので、アルコール消毒が有効であり、具体的には以下の方法が望まれます。
食肉では、調理後にスクレーパーで充分に肉汁などをかきとり(これだけでも除菌効果は見られます)、その後にアルコールスプレーで充分アルコールをかけて刃傷内まで浸透させ殺菌します。かきとりが不充分であるとアルコールが脂肪や肉汁に浸透して、まな板や刃傷内まで到達できないので、注意が必要であり、見た目に汚れがわからない状態になるまで、充分にかきとるようにしてください。
寿司、惣菜調理では温湯で絞った清潔なダスターで拭き、その後にアルコールスプレーで充分アルコールをかけて殺菌します。この方法はカットフルーツの場合にも応用できます。
量の問題ですが、スプレーは20cmくらい離して行い、表面がアルコールで濡れているのが解るくらいまで噴霧しますと、まな板の場合、刃傷内に浸透してゆきます。
距離を20cm以上離すとアルコールは周辺部に飛散してしまい、濡れムラができてしい、殺菌されない部分が残ります。この刃傷内を殺菌しておかないと、鮮魚でも同じですが、調理作業中に刃傷内から肉汁と共に食中毒菌が浮き出し、食材への「二次汚染」がまな板を通して発生することとなります。
どうでしょう?
このように、調理作業中作業中に、洗浄剤を使用せずに、連続して作業できるのがアルコール消毒の効用です。最近では、機能水(強酸性水/強アルカリ性水)による洗浄殺菌が、毒性の残留のない有効な方法として注目されて来ていますが、この方法と手軽なアルコール消毒の組み合わせは相互の欠点を補い合う性質上非常に相性が良く、二次汚染防止に絶大な効果を発揮します。(商品名:トライシンク/バクテコントローラー)詳しい情報のお問い合わせはYAMASA食品安全研究所、下記連絡先までお寄せ下さい。
参考文献
(食品衛生早わかり/牧野権一著/柴田書店刊)
(食品衛生/1997年11月号/社団法人日本食品衛生協会刊)
次回も「消毒用アルコールによる消毒」を取り上げる予定です。
1/22号につづく