お知らせ

vol.9 ホテルパンの洗浄

1998/08/21 アーテック倶楽部ニュース

連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
今回も「二次汚染」のつづきです。
ガストロノームサイズ」のパンの規格は、言わば、HACCPにおける食品取り扱い及び管理の基本単位!と言えましょう

 
私がオーストラリアで見てきたケータリング会社(HACCPの完成度は約90%)でも、その厨房の約25%を占めていたのが大量の「ガストロノームサイズ」のパンの類でした。(残念ながらそれらを何処で洗っていたのかは、見落として来ましたけど…。)そして大量のパンを清潔かつ衛生的に洗浄できる機器、それが「グラニュールディスク」なのです。

「グラニュールディスク」を「二次汚染」防止機器としての見地から解説しましょう。

すすぎ温度が約85℃です:85℃という温度は、 HACCPの食品の最終加熱芯温(鳥肉:73.9℃/豚肉:68.3℃/魚:62.8℃)を全てクリアーしています。また、日本の厚生省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」における最終加熱芯温の75.0℃をもクリアーしています。つまり、「グラニュールディスク」で洗浄したパンには、食中毒菌が残留しない事を意味します。
食品カスの焦げ付きやこびり付きが完全に除去できます:表面に食品カスのこびり付いたパンは、いくら殺菌してあるからといっても長期的には衛生的ではありません。殺菌直後は問題が無くても、食品カスの残留は、食中毒菌繁殖の温床にいつでも変わるチャンスがあり、「二次汚染」の危険性が極めて高い状態のパンと言えるでしょう。人手による除去は、不可能ではありません。しかし、非常に手間がかかるため、不十分になりがちです。グラニュールディスクが水や洗剤と一緒に吹き付けるプラスチックの粒で、食品カスの焦げ付きやこびり付きを削り落とすことによって初めてこの危険性の高い状態は簡単に解消します。(注意:パンだけでなく寸胴鍋や金属プレートの類も洗浄できます。)
「グラニュールディスク」、これはヨーロッパでは「二次汚染」防止機器として販売されていた訳ではありません。しかし、上記の様にHACCPの考え方で分析してみると充分適合していることが解ります。非常に近い将来、HACCP厨房の必需品になるのではないでしょうか?
では「二次汚染」防止のために行う「消毒」にはどんな方法があるでしょうか?また、そもそも「消毒」とは一体何なのでしょう?「除菌」「滅菌」「殺菌」とか、似たような言葉が他にもありますが、区別がつきますか?ではその部分をまとめて解説してみたいと思います。

「消毒」がらみの用語解説

私自身、文章を書いていて、とても曖昧な使い方をしていたと反省しているのが、このあたりの言葉です。皆さんはどうですか?ですから、今回は私自身、スッキリしたい意味も含めて「用語解説」とした次第です。

 
消毒:
病原微生物や食中毒菌の、増殖の力を弱めて感染力を無くす。(つまり、すべての微生物を徹底的に殺すことでは無いのですね。)
殺菌:
病原微生物や食中毒菌を殺す為の手段です。(私は、よく「消毒や殺菌をして…」って言っていましたが、言葉の意味を正しく知らなかった事がバレましたね。)
滅菌:
病原微生物や食中毒菌など、すべての微生物を徹底的に殺す。(たとえば、手術用の器具や注射器の処置は「殺菌」ではなく「滅菌」されています。)
除菌:
食器を洗剤で洗ったり、野菜などを流水できれいに洗うこと。大部分の細菌を洗い流すことはできますが、完全ではありません。

8/28号につづく