お知らせ
vol.4 文部省が食品安全点検を開始
1998/05/29 アーテック倶楽部ニュース
連載★ HACCPこわい!?食品安全再点検★
今回は、本日の朝日新聞に載っていた学校給食の食中毒問題を取り上げた記事を読みましょう。最後に簡単に解説します。学校給食を巡回点検文部省新年度から調理見届け指導も学校給食による食中毒をなくそうと、文部省は、専門家が学校や共同調理場をまわって点検する新事業を1998年度から始める。食材の搬入が始まる午前7時頃から子供たちの口に入るまでを見届け、問題点を指摘する。過去に食中毒を起した学校での原因も説明して「安全な給食」への意識を高めてもらう。
文部省によると学校での食中毒は給食が原因かどうかははっきりしないものを含めると、病原性大腸菌O-157が猛威を振るった96年度が、18件で患者約1万2千人、97年度は、12月まで9件2,500人であった。両年度に食中毒の起きた学校を「学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議」(座長阿部裕吉学校食事研究会事務局長)の委員が回ったところ、共通した問題が浮かび上がった。例えば97年6月588人の小学生と教職員22人が被害にあった奈良県橿原市では、調理台の上に焼きブタを入れた段ボール箱を置いたため、汚れた箱の底が調理台を汚染したのが原因と見られている。
又、同じ時期に熊本市の共同調理場では、2日前に卵をほぐすために使ったミキサーの洗い方が不十分だったため、サルモネラ菌が繁殖して生徒484人と教職員20人の食中毒を起した。更に床に撒いた水が低い場所に置かれていた食材にはねて食中毒を起した例、袋やざるなどの器具を介した汚染の例が複数合った。
新事業では、協力者会議の委員2,3人が都道府県ごと一個所の学校、調理場を訪問して作業全体を点検する。問題があれば指導し、食中毒を起した学校に共通した問題点を周辺校の担当者を含む参加者に説明する。文部省は、更に調理室の高温多湿状態を改めるため、調理室に水をまかなくてもいいようにする改修にも継続して取り組み、長靴にゴム製エプロンという、これまでの調理場の装いをズック靴に布製エプロンにあらためていく方針だ。
以上、朝日新聞1998年1月8日朝刊より。
さて、ここに掲載された食中毒事例をHACCPの観点から見ますと、これらはいずれも「2次汚染」によるものです。「2次汚染」は、厨房スタッフが充分に食中毒防止の知識・訓練を受けていない事により発生する場合がほとんどです。奈良県の場合は、外から持ち込んだ梱包をもっとも衛生に注意すべき調理台の上に乗せてしまった事による「2次汚染」。
熊本市の場合は、ミキサーの洗い方が不十分(多分外観はピカピカだったのでしょう。日本の給食センターの器具は、ほとんどピカピカです。)
つまり、食中毒菌を殺すための洗浄方法を知らなかった事による「2次汚染」。これらはいずれも、「清潔と衛生は意味が違う。」事を理解していなかった事による食中毒事例です。また、床からの跳ね水による「2次汚染」は、まだ食材が調理室内にある段階、つまり調理中にかたや掃除(水まき)を始めてしまった事を意味しており、作業行程そのものが忙しさや慣れによって曖昧になっている状態を感じさせます。
皆さんはどんな風にかんじましたか?。では、また次号